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白馬大雪渓でガイドツアーの事故

概略がわかってきたので、メモとしてアップ。まず信濃毎日新聞の報道。

白馬大雪渓で土砂崩落、登山者2人と連絡取れず
8月20日(水)

 19日午後4時10分ごろ、北安曇郡白馬村の北アルプス白馬大雪渓上部で土砂崩落があったと、県山岳遭難防止対策協会の常駐隊から大町署に通報があった。村や同署によると、崩落は標高2300メートル付近の葱平(ねぶかっぴら)下部で発生。幅約30メートル、長さ約70メートルの規模で、現場付近に登山用ザックが落ちており、登山者が巻き込まれた可能性がある。

 同署などによると、白馬岳(標高2、932メートル)頂上近くの白馬山荘にこの日宿泊予定だった女性と、同行していた「登(と)攀(はん)クラブ安曇野」(安曇野市)所属の野間洋志さんの計2人と連絡が取れていない。現場で見つかったザックは野間さんの所有とみられる。

 当初、頂上付近の山小屋に宿泊予定の3グループ8人と連絡が取れていない-との情報もあったが、2グループ6人は入山していなかったことが確認できたという。

 現場は残雪がある登山ルート上。付近を通った登山者の目撃情報から、土砂崩落は同日午前11時ごろとみられる。この情報を受けた県遭対協常駐隊員が白馬山荘から現場へ向かい、崩落を確認した。

 県警は同日午後5時半ごろに県警ヘリ「しんしゅう」を出動させたが、天候が悪く現場を確認できなかった。20日早朝からあらためて捜索する。「しんしゅう」が現場へ向かうほか、山岳遭難救助隊員や県遭対協の救助隊員、民間のレスキュー犬も投入する方針。新潟県警にもヘリの応援を要請している。

 葱平付近では、2005年8月にも土砂崩落が起き、2人が死傷している。

 長野地方気象台によると、19日は日本海の低気圧から延びた前線が本州を東へ進み、県内では北ア周辺など北部を中心に激しい雨になった。白馬村役場総務課によると、登山口の猿倉では午前7時ごろから雨が降り始め、午前10時から午後2時にかけては1時間に最大22ミリの強い雨。午後3時までに計111ミリを観測した。




報道から分かるのは・・・
・ガイドツアー
・白馬山荘を目指して登っていた可能性
・かなり雨が降った模様


ガイドについては、安曇野山岳ガイドクラブに所属されている方らしい。
案内には以下のような文章がある。

安曇野山岳ガイドクラブは社団法人日本山岳ガイド協会の正規加盟団体です。
燕山荘グループの現役スタッフ、OBが母体となって構成されたガイド組織です。




また降雨については、同じ頃、大雪渓を下山してきたグループのコメントが
読売新聞に掲載されていた。

白馬岳崩落「自分たちも間一髪」 登山者ら、安否気遣う
高山植物と万年雪が美しい登山コースを土砂が襲った。白馬村の白馬(しろうま)岳の大雪渓で19日起きた土砂崩落。登山を予定していた2人と連絡がとれなくなっており、関係者の間から安否を心配する声が上がった。

(中略)

高山植物の保護のため、白馬岳の頂上に約1か月滞在していた宇都宮大4年の川上浩一さん(21)のグループは同日午前8時過ぎに頂上宿舎を出発。同10時ごろに大雪渓を通った。

 「その時は土砂降りで、いつもに比べ人がいなかった」。午後1時ごろ、登山口の近くにある猿倉荘に到着したが、土砂崩落にはまったく気付かなかったという。猿倉荘で見たニュースで、崩落を知った。「びっくりした。自分たちが通ってきた道なので、間一髪だった。あの雨の中で土砂に巻きこまれたらどうなっているかわからない。心配だ」と、連絡のつかなくなった2人を気遣った。

 千葉県の中高一貫校「市川学園」のワンダーフォーゲル部の部員10人を引率して、猿倉荘に来ていた顧問の中川一成さん(55)は「大雪渓を通って白馬岳の山頂に行く予定だったが、違うルートを行くか、登山をあきらめるか考える。大雪渓を楽しみにしていた生徒もいるが、仕方がない」と話していた。(2008年8月20日 読売新聞)




現場では、かなりの土砂降りであったようです。
最後に、NHK ニュースでの専門家のコメントをメモしておきます。

今回起きた土砂崩落について、土砂災害の発生のメカニズムに詳しい信州大学の北澤秋司名誉教授は「土砂の崩落が起きた付近は傾斜が急なうえ、岩が風化してボロボロになっているため、いつ崩落が起きてもおかしくない場所といえる。現場付近では、崩落が起きる前に1時間に20mmほどの雨が降っており、この雨がきっかけとなって風化した岩が崩れ、崩落につながったと考えられる」と指摘しました。

そのうえで北澤名誉教授は「白馬岳では3年前にも大規模な崩落が発生するなど、 崩落の危険性が高い山で、登山者は天候などに十分注意し、少しでも危険を感じた場合には引き返す勇気を持ってもらいたい」と話しています。



メディアはこうして大学の教授等にコメントをもらうことで、仕事したつもりになっていますが、この程度のことは、山が好きな方なら理解しているでしょうし、「少しでも危険を感じたら…」といった抽象論ではリスク管理はできませんしね。現場も見ていないのに、崩落原因を語るのはいかがなものなのでしょう。学究者らしからぬ軽率な言動に思えます。


報道からではわからない点で知りたく思うのは、視界がどの程度あったのだろう、ということです。

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情報が流れたので、追記をしておく。

崩落したのは、2005年8月の杓子岳側ではなく、白馬岳側の模様。学者先生はこっち側であることを想定できていただろうか。Yahoo のFNNニュース動画を見ると、斜面は雨で滝状態になっている箇所あり。

土砂崩落が起きたのは白馬岳の大雪渓で、規模は幅50メートル、長さ100メートルくらいで、19日午前11時ごろに発生したとみられている。

崩落の1時間前に現場を通った宇都宮大学写真部の川上浩一さんは「ゴーッという音がして、岩が流れたりとか、カラカラという音で落石があった。危ないから早く抜けたいと思い、下りるときも、後ろを振り返り注意した」と話した。

白馬村では、19日は朝から強い雨が降り、この1週間の雨量は120mmとなった。



中国新聞によると、さらにもう一人の方が巻き込まれていた模様。

新たな一人は新潟県長岡市の長岡工業高等専門学校の六十代の教授で、三人は土砂崩れに巻き込まれた可能性があり、県警が確認を急いでいる。男女の遺体は近くで見つかった。(中略)

 同校などによると、教授は山岳部顧問の佐藤国雄さんで、十八日から二十日の日程で入山していたとみられる。



当事者の行動等については、現場状況および判断等わからないことが多々あるのでノーコメント。これ以上の被災者がいないことの祈るのみ。

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